僕は鉄のフライパンを愛用しています。しかし鉄のフライパンは、長い間使っていると、焦げ付いたり錆びたりして使いづらくなることがあります。
テフロン製のフライパンが焦げ付くようになれば「寿命」と考えて捨ててしまいますが、鉄のフライパンは「焼き切り」という作業をすることで新品同様に再生させることができます。
もしも手元に、焦げ付きが酷くなったり、放置して錆びてしまった鉄のフライパンがあるならば、是非フライパンの再生作業をしてみてください。破棄する寸前の状態からピカピカの新品同様に復活させることが出来ます。
以下、鉄のフライパンを新品同様に復活再生させる方法についてまとめてみました。
鉄のフライパンのメリット
長く使える鉄のフライパン
料理をする際に必ず使う調理器具の一つであるフライパン。以前はテフロンコーティングされたフライパンを使用していましたが今では鉄のフライパンを使用しています。
テフロンコーティングのフライパンは手入れが楽なのは良いのですが、日々剥がれていくテフロンが一体どこへ行くのか?ということを考えると怖くなってしまい、鉄のフライパンを使うようになりました。
個人的には「長く使える一生モノ」が好きということもあり、使い捨てのテフロン製のフライパンとは違い、鉄のフライパンはきちんと手入れをすれば、擦り切れるまで使えます。ちゃんとしたフライパンなら、それこそ一生使えるので、道具に対する愛着も沸いてくるのです。
鉄の厚みがポイント
僕の使っているフライパンはde Buyerというフランスのメーカーのフライパンです。
極厚が特徴のフライパンで、フライパンの厚さが2.5mmくらいありとてもしっかりしています。
フライパンを購入する際に「なるべく良いフライパンが欲しい」と探して見つかったのがこのフライパンです。
厚みがあるので重量が2kg程度とかなり重たいので、ブンブンと振るようなことはできませんし、女性が扱うには重たすぎるということもあり、我が家の奥さんには嫌われていますが、鉄のフライパンの魅力を十二分に堪能出来るフライパンだと思っています。
重さが気になる人は軽量なフライパンを使うという選択肢もありますが、個人的には多少重くなったとしても「厚みのあるフライパン」をおすすめしたいです。
というのも、フライパンの厚みがあると、フライパンが均等に温まり熱ムラが少なくなります。なので玉子焼きやホットケーキを焼く時にはムラの無い綺麗な焼き色になります。一度温まれば温度も下がりづらくなるので、水分を飛ばす必要のある炒めものなども上手にできるようになります。
強火の料理もできる
テフロンコーティングのフライパンは強火で調理をするとテフロンをいためてしまうので、野菜炒めやチャーハンなどの高温で調理が必要な料理は水分が飛びきらずにビチャビチャになってしまいます。
しかし、鉄のフライパンは強火で調理が問題なくできますし、フライパン自体も熱を保ってくれるので、野菜炒めやチャーハンなどの炒めものは断然美味しく仕上げられるのです。
特にステーキなど、高温で焼く必要のある料理では、フライパンの違いが大きく料理の味を左右することになります。
意外と安い鉄のフライパン
イタリアンのレストランなどで見かける銀色のフライパンの多くはアルミ製です。アルミ製のフライパンは一般的に高価で、数万円という高級なフライパンも少なくありません。
それらのフライパンと比べて鉄のフライパンは意外と安いのです。
もちろん鉄のフライパンも数万円するものはありますが、5,000円程度の予算で考えてもかなり選択肢があり、いろいろなタイプのフライパンを選べます。
さすがにテフロンコーティングのフライパンと比べると価格は高くなりますが、一度変えばずっと使えて買い替える必要がないことを思うと、少々高くてもタダみたいな感覚で選ぶことができると思います。
鉄のフライパンは焦げ付きやすい?
鉄のフライパンは焦げやすく錆やすい
鉄のフライパンの評判は残念ながらあまり良い話を聞きません。鉄のフライパンは「焦げ付きやすい」「錆びやすい」というイメージがどうしても先行してしまうようです。
実際、鉄のフライパンのAmazonレビューなどを見ると、低い評価をしている人のほとんどが焦げ付くことを理由にしているのです。
確かに、鉄のフライパンは焦げ付くこともありますし、錆びついてしまうこともあります。しかし、ちゃんとした手入れと、ちゃんとした使い方さえ覚えれば、焦げ付くいたり、錆びたりすることもなく、快適に使い続けることが出来ます。
焦げ付いたり、錆びつかせたりしてしまうのは、正しい手入れ方法や使用方法を知らないからだと思われます。
焦げ癖がついたフライパンでも再生できる
しかし時々ズボラになってフライパンの手入れを怠ってしまうこともあります。そのズボラが積み重なっていくと、いつの間にかフライパンに焦げ付くクセができてしまい、料理の度にストレスを感じるようになります。
テフロンコーティングのフライパンの場合は「焦げ付く=テフロンコーティングの寿命」という考え方ができ、その時点で新シフライパンを買い替えることになります。
しかし、鉄のフライパンは捨てなくて良いのです。フライパンの再生処理をおこなえば、フライパンはまるで新品のようにピカピカに再生できるのです。
例えば、何年も放置して錆だらけで捨てるしかないようなフライパンでも、ちゃんと手入れをすれば新品同様に再生できてしまうのが鉄のフライパンの素晴らしいところなのです。
焦げ癖のついた鉄のフライパンを再生復活させる方法
焦げ癖のついた鉄のフライパンの現状
ここで紹介したいのが、僕が独身時代から7年ほど使い続けているde Buyerのフライパンです。
焦げ癖がついてしまったせいで出番が減ってしまい、放置状態になっていました。
表面を鉄ヘラでゴリゴリこすっても焦げ付きが落ちません。料理をすると同じ場所がいつも焦げ付くようになってしまいました。
側面の見た目はさらにひどくなります。
調味料などがこぼれて焦げ固まってしまっています。見た目も汚らしくて料理に使いたいとは思えませんね・・・・。
裏側も酷い状態です。
焦げで固まった部分を鉄ヘラの角でガリガリ落としてみると、焦げが剥がれ落ちた部分から赤錆が見えます。
この状態のフライパンを見ると普通の人はきっとフライパンを捨ててしまうでしょう。とても再び使えるようになるようには思えませんよね。
このゴミ同然とも思われる鉄のフライパンをリセットして新品同様に再生してみたいと思います。
焦げ癖のついた鉄のフライパンを再生する道具
● フライパン用ブラシ:今後の手入れのために。ドイツ製でした。
● コゲ落ちくん:フライパン再生の仕上げに使います
● ガスバーナー:焼き込みに使います
● 紙ヤスリ:#80〜#150程度のもの
● クレンザー:仕上げに使います
● 鉄ヘラ:コゲなどを落とす際に使います
ガスバーナー
フライパンを「焼き切り」するために使用します。
焼き切りとはフライパンをしっかりと焼いて表面についた焦げなどを炭化させる作業です。
焼き切りするにはガスコンロを使用するのが本当は良いのですが、現在一般家庭に普及している家庭用のガスコンロには安全のための「温感センサー」が付いていて、ある程度の温度になると自動的に火力を最小にしてしまう機能がついています。
このため、鉄のフライパンをリセットするために必要な焼き切りをしようとすると、高温になりすぎてセンサーが働いてしまい、必要なレベルまでの焼き込みが出来ません。
飲食店で使用しているような業務用のガスコンロであれば問題なく焼き切りできるのですが、そんなものは一般家庭には無いと思われるので、他の方法を考えなくてはいけません。
そこでガスバーナーを使って焼き込みをするというわけです。
但し、長時間連続使用すると、ガスバーナーの本体も熱くなってくるので注意が必要です。
時間は掛かりますが、一気に焼き切りをしようとせずに、部分部分を焼き込んで、休ませながら作業するのが安全だと思います。
鉄ヘラ
焼き切りした後に炭化した焦げを削り落とすために使用します。お好み焼きなどで使用するようなもので構いません。
紙ヤスリ
鉄ヘラで焦げを削り落とした後、フライパンに残った細かい焦げを落とすために紙ヤスリを使用します。
一般的に紙ヤスリは用途によって目の粗さを変えながら使用するため。目の粗さが番号によって別けられています。番号が小さいほど目が粗くなりザラザラとした表面になります。
作業の工程としては、まず#80〜#100程度の粗めの紙ヤスリで基本的なコゲを落とします。次に#150くらいの中目の紙ヤスリで荒れた表面をならして、仕上げとして#200くらいの細かい紙ヤスリを使用すると丁寧な作業が行えます。
僕は面倒なので#120の紙ヤスリだけで作業しましたが、まぁそれでも十分だと思います。
荒目〜細目までの紙ヤスリがセットになったものも販売されていてますが、一枚では足りないと思うので、同じ番号を数枚準備しておいたほうが良いでしょう。
実作業
1.鉄のフライパンの焦げを焼き切る
焦げ付くようになった鉄のフライパンをリセットするための最初の作業として、フライパン全体のコゲや汚れを強い火力で焼き切ることから始まります。つまり焦げ付いている部分を徹底的に焼いて炭にしてしまうというわけです。
ガスコンロの上で作業をすることになりますが、上にも書いたようにガスコンロは温感センサーがあるためフライパンが一定温度以上に熱くなると自動的に火力が弱まるので、あくまで補助的な火力と考えて、メインはガスバーナーを使用して焼き込んでいきます。
かなり高温にならないとコゲの部分が炭にならないので、同じ場所を徹底的に焼くようにします。
焦げが焼けてくると、モクモクと煙が出て焦げの部分に火がついて燃え始めます。なかなか楽しい作業ですが、焦げの量が多いと火が大きくなるので換気と火事には注意してください。
この作業でしっかりと焦げを焼き切っておくと、この後の作業が楽になるのと仕上がりが良くなるので、多少時間は掛かりますがしっかりと丁寧に焼き込んで焦げを炭化させていきましょう。
2.焼き切ったフライパンの焦げを落とす
次に鉄ヘラを使用して焼き切り作業をしたフライパンの焦げを落としていきます。
焼き切り作業で炭化するまでしっかり焼き切っていると、鉄ヘラを当てると、ウロコのようにポロリと焦げが剥がれます。
金属ヘラでゴシゴシと削ると、上記の写真ように焦げの裏側に隠れていた赤錆が出てくることもあります。鉄のフライパンではよくあることですし、たとえ赤錆が出たとしても綺麗に再生できるので、気にせず作業を進めます。
裏側も同様に焦げを金属ヘラで削っていきます。ちゃんと焼き切って炭化していると、面白いくらいに焦げが剥がれ落ちます。新聞紙の上に塊で落ちているのが、きちんと焼き切って剥がれ落ちた焦げです。
焦げを剥がすと銀色の下地が見えます。この銀色が鉄本来の表面の色になります。
こうして焦げを落として鉄のフライパンを綺麗にしていくわけですが、ヘラで削り落とすことができない焦げもあるかと思います。
削り落とせない焦げはまだ炭化していない部分なので、ガスバーナーを使用して再度焼きを入れます。焼き切りとヘラで落とす作業を何度か繰り返しながら綺麗にしていきます。
3.焦げを削り取った鉄のフライパンをヤスリがけする
基本的な焦げを削り落とした後は、紙ヤスリで全体を磨いていきます。
しつこい焦げなどが残っている場合は、やはりガスバーナーで焼いて炭化させてから削るようにします。
紙ヤスリは#80〜#150くらいの比較的荒いものを使って焦げを落としていきます。
ヤスリがけには、木製ブロックなどに紙ヤスリを巻いて面で研ぐようにすると綺麗に仕上げられます。僕は子供の積み木を借りて作業しましたが、カマボコの板などに紙ヤスリを巻いても代用出来ると思います。
表面が赤錆だらけになっていたとしても、ヤスリで磨くと鉄本来の銀色になってきます。
裏側も同様にヤスリがけしていきます。多少汚れが残ったりもしますが、ムラ程度のものであれば、特に気にしなくても良いと思います。
紙ヤスリは26cmのフライパンを丸々磨き上げるのにA4サイズ1枚くらいは使うかもしれないので、余裕のある枚数を準備しておいた方が良いと思います。
上にも書きましたが、この作業をより丁寧に行なう場合は、3種類くらいの荒さ(#80,#150,#240)を使い分けて番号の小さな粗い紙ヤスリから順に磨き上げるのが良いでしょう。
4.鉄のフライパンをクレンザーで磨く
ヤスリがけが終わると、クレンザーとスポンジを使って、フライパンの汚れを落とします。荒めのスポンジを使うのが良いでしょう。僕は激落ちくんの焦げ落としバージョンのスポンジである「コゲ落ちくん」を使用してました。
内側から円を描くようにグリグリとまんべんなく磨き上げていきます。白いクレンザーが灰色に変わっていくのが気持ち良いです。クレンザーの色が変わらなくなる程度まで磨いたら、よくすすぎます。
5.鉄のフライパンを空焼きする
クレンザーで磨いた後は、ガスコンロの火にかけてフライパンを焼き込みます。フライパンを焼き込むと玉虫色と呼ばれる青光りする不思議な色にフライパンが変色します。
「焼入れ」と言われるこの作業もかなり高温にする必要があるので、焼き切りをした時と同様にガスコンロの安全装置が働いてしまい、焼入れできる前に停止してしまいます。
なので焼き切りをした時と同じようにガスコンロにかけながらガスバーナーを使って部分部分を集中的に熱しながら、少しずつ焼入れ作業をおこなっていきます。
写真では判りづらいですが、フライパンに焼入れをすると、青光りする不思議な色になっていきます。
鉄のフライパンを初めて使用する際に行う大切な儀式である空焼きと呼ばれる作業をもう一度行うわけです。
玉虫色に変色させるには不安になるくらい執拗に焼き込まなくてはいけませんが、玉虫色になるまでフライパンを焼き込むことでフライパンの表面に酸化皮膜と呼ばれる膜ができます。
酸化被膜が出来た鉄のフライパンの表面に小さな穴が沢山空いた状態になり、その穴に油が入り込むことによって、焦げ付きにくいフライパンになるというわけです。
6.油を馴染ませて鉄のフライパンを仕上げる
焼入れが終ったフライパンに油を注いで5分ほど弱火で加熱します。充分熱したら余分な油を戻して、キッチンペーパーでフライパンを拭き取って仕上げが完了です。油が馴染むことでフライパンの色が濃くなります。
慣らしとして焦げ付きの心配の無いクズ野菜などを炒めてフライパンに油を馴染ませます。
7.鉄のフライパンの再生が完了!
これで鉄のフライパンの再生が終了しました。
作業前はゴミ同然だったフライパンが新品同様の美しいフライパンに生まれ変わった瞬間です。
汚れまくっていた側面もこんなに綺麗になりました。
裏側も同様にピカピカです。購入して7年も経ったフライパンとは思えません。
このように鉄のフライパンは新しいフライパンのように再生復活させられるのです。
このフライパンを見て、我が家の奥さんも驚き「綺麗なフライパンなので気持ち良く料理が出来る」と嬉しそうに再生されたフライパンを使っていました。
鉄のフライパンの日頃の手入れ方法
鉄のフライパンは再生作業をすればまた復活はできるものの、毎日快適に使う為には、やっぱり日頃から丁寧に正しい手入れをすることが大切です。
ということで、最後に鉄のフライパンの日頃の使い方、手入れの方法についてまとめておきます。
鉄のフライパンを使う際は油返しから
鉄のフライパンを使った調理前の準備として油返しと呼ばれる作業は必須です。これを行うことで鉄のフライパンの表面の穴に油が入り込み、焦げ付きづらい状態で調理ができます。
油返しの手順
中火で鉄のフライパンを熱します。鉄のフライパンの厚さにより時間が変わりますが、手のひらを鉄のフライパンのすぐ上にかざして熱く感じられる程度が目安になります。
フライパンを熱くしてあげることで、フライパンに空いている無数の小さな穴に油が入ります。
鉄のフライパンが温まったら多めの油を入れて、フライパン全体に広がらせます。油の量はフライパンに1/3程度の深さまでが目安です。余分な油は油ポットに戻します。
面倒な場合は、フライパンを熱した後に、普通に油を敷くだけでも良いと思います。我が家では油返しはほとんどしていませんが、焦げ付くことはありません。
ただし、フライパンを熱してから油を注ぐという順序は間違わないようにしてください。フライパンを熱する前に油を注ぐと焦げ付いてしまいます。
鉄のフライパンでの調理は中火以下
鉄のフライパンは油返しの段階で充分に熱くなっているので、調理中は基本的に中火以下で調理します。強火にすると熱くなりすぎて焦げ付く原因になります。
鉄のフライパンは使用後すぐに洗う
鉄のフライパンでの調理が終われば、なるべく早めにブラシなどでこすりながら汚れを流します。早めに洗えば洗うほど汚れは綺麗に落ちるので、多少面倒でも習慣づけて使ったらすぐに洗うようにした方が結局は楽になります。
洗う際は、水のみで洗剤の使用はせっかく馴染んだ油を除去してしまうので厳禁です。使用した直後のまだフライパンが熱い状態だと水だけでも綺麗に汚れを落とすことが出来ます。洗ったら、火に掛けて水分を飛ばして錆びないようにします。
もちろんひどい汚れの時は洗剤を使っても良いと思います。我が家でもそうしていますが、調理前の熱してから油を注ぐという作業をしっかりとやれば焦げ付くことはありません。
次にすぐ使うようであればそのままでも構いませんが、しばらく料理をしない場合は、薄く油を伸ばすなど表面をでコーティングした方が良いかもしれません。(洗った後の油差しは、使用しない間に油が酸化してしまうので良くないというお話もあります。)
まとめ
こんな感じで日頃から丁寧に扱う事で鉄のフライパンを快適に使うことができるようになります。
錆びて使わなくなったり、焦げ付いてどうしようもなくなった鉄のフライパンがあれば是非フライパン再生にチャレンジしてみてください。